虫刺されや蛇に噛まれた時に備えてポイズンリムーバー持っておくといいって聞くけど、実際のところどうなんだろう?
使い方とか注意点とか調べてみようかな?
そんな方に、蚊帳使わない派キャンパーであるケンヂまるが、ポイズンリムーバーのお話をしようと思います。
結論を先に言っておくと、春・夏・秋のキャンプでは、いっしょにキャンプをする仲間のうち、一人はポイズンリムーバーを持っておいたほうがいいと思います。
ちょうどポイズンリムーバーを新調してテンションが高くなっていたため、記事としてもポイズンリムーバー中心に書こうと思ったのですが、書き終わってみたらもっと幅広く汎用的に使えるほど濃い内容になったと思います。
そもそものテーマが危険に対するものというのもあって、かなりリサーチしました。
リサーチだけでも一週間くらいはしていると思います。(笑)
この記事を読むことで、10分とかそれくらいで実用的な情報が手に入ると思いますので、危険生物のいる時期にキャンプをされる方としては必読かなと思います。
ポイズンリムーバーの使い方や必要性に始まり、どこで買えばいいのかということや、その他どうでもよさそうなウンチク話まで紹介しておきましたのでぜひ読んでいって下さい。
登山や野営ならポイズンリムーバーは必携
登山でも野営でも、少しでも荷物を少なくしたいものです。
そう考えているところに、ポイズンリムーバーというそこそこ大きめなアイテムを持って行く余裕があるのか…?
といった考えになってしまうのは、よくわかる。
僕も軽量キャンパーでありハードボイルド野営男を目指しているクチですから、荷物はグラム単位で軽量化をはかっています。
それでもポイズンリムーバーは、持って行くべきだと思います。
僕のようにソロキャンだと、何かあってもすぐに異常に気付いて助けてくれる人がいない。
キャンプ場で管理人さんがいればまだマシですが、なかなか管理人さんがつかまらないこともあったりなかったりあったり。
また、野営で山の中に1人踏み入っている時の負傷だとさらに絶望的。
つまり、命の危機に陥る可能性が高いわけです。
べつに数日食べなくたって、死なない。
雨に濡れても、死なない。
でも毒がまわるということは、生きるか死ぬかという話。
と、悲観的な思考を巡らせると、ポイズンリムーバーは常に持って行くべきマストアイテムだという答えにたどり着くと思います。
ただ、こういった普段は使わない系のアイテムって、何年も使わないまま済んでしまっていると、そのうち「持って行かなくても大丈夫かな」と装備から外されてしまうことが多いです。
そこは毎回気を引き締めて、常に持って行くように心がけたいところです。
ポイズンリムーバーの使い方
今回は僕の持っているキャプテンスタッグのM-7742というポイズンリムーバーで使い方を紹介します。
使い方は思っていたより単純で簡単でした。
「ね、簡単でしょ?」と説明されると知ったかぶられている感じがしてイライラしてしまうタイプの僕ですが、簡単だと言いたくなるほどの簡単さです(笑)
M-7742の使い方
先端が4種類。受傷部分によって使い分けることができます。
(1つは本体に装着していたので写真に写っているのは3つ)
傷口に対して適切なサイズの先端を本体に装着
(押し込んでハメるだけの簡単なお仕事)
ピストンを引く
受傷した部分に先端を当ててから
ピストンを押し込むと吸引
注射器などはピストンを吸うのに対してポイズンリムーバーは押し込むだけで大丈夫。
おかげで片手で操作でき、片手を受傷してももう片手だけでの処置が可能。
吸引力は強いです。
繰り返し簡単な部分を強調したのは、緊急時で気が動転していても使えるという利点があるからです。
蛇に噛まれたら、気が動転しますよね?
ムカデに噛まれて激痛のとき、頭って働かないですよね?
そんな時でも、考えなくてもスムースに処置ができるくらい使い勝手がいいものであること。
ポイズンリムーバーは単に毒を吸い出せればいいだけではなく、高い次元で使いやすさも備えていて初めて、携帯するに相応しいポイズンリムーバーになると思います。
ポイズンリムーバーを使う前にまずは傷口を洗いましょう
ムカデも蛇も、毒を注入してくるように思われがちですが、実は牙で傷をつけたところに毒を塗りつけてきます。(蜂は針を差し込んできますが)
つまり傷口の表面にも毒が結構ついているわけです。
と、いうことは。
いきなりポイズンリムーバーで毒を吸い出すのではなくて、まずしなければいけない事は、表面の毒を洗い流すことです。
これを踏まえて処置の順序を考えると、このような順番になります。
- まず傷を洗い表面の毒を取り除く
- ポイズンリムーバーで毒を吸い出す
- ムカデや蜂など
→「抗ヒスタミン軟膏」か「ステロイド軟膏」を塗る - 蛇毒など血清が必要な場合
→病院へ直行または救助を呼ぶ
→幹部から心臓側を軽く縛り毒の流れを防ぐ
危険生物紹介
刺されたり噛まれたりしたらポイズンリムーバーが必要になってくるようなキケンな奴らを紹介するぜええ!
公司曰く
敵を知り己を知れば百選危うからず、ですぞ。
と、いうわけでまずは敵を知りましょう。
蜂 スズメバチ ミツバチ
日本の代表的な毒蜂はミツバチ、スズメバチ、アシナガバチの3種です。
毎年25人前後の人が、蜂に刺されたことが原因で死亡しています。
日本の山で最も人の命を奪っている危険生物、それは蜂なんです。
死亡原因で一番多いのは、蜂毒の作用ではなくアナフィラキシーショックです。
これはいわば急性かつ重篤のアレルギー症状が出ている状態なのですが、「エピペン携行薬」というものを持っていると生存率が高まります。
ポイズンリムーバーは毒を吸い出すことはできても、アナフィラキシーショックを完全に防ぐことはできない点に、注意が必要です。
(たぶん、体内に入る毒の量が少なくなればショックの重篤化も抑えることはできると思われ)
処置の流れとしては、
- 水で洗い流しながら毒を絞りだす(あまり強く絞らないほうがいい)
- ポイズンリムーバーで吸い取る(口で吸うのはキケン)
- 水で冷やす
- 「抗ヒスタミン軟膏」か「ステロイド軟膏」を塗る
- 気分が悪くなったらいつでも病院へ行けるよう準備をする
こんな感じの順です。
ポイズンリムーバーが無ければ強めに絞り出してもいいのかなとも思いますが、ポイズンリムーバーがあればそんなこと気にせず吸い出せばいい話です。
蛇(へび)
日本の本土にはマムシとヤマカガシがいます。
ハブは沖縄周辺のみに生息しています。
蛇の種類によって毒の成分などが違い、症状のでかたもかわります。
どの蛇毒にもいえることは、命の危険が伴うほどの毒であるため、口で吸い出す行為はリスクが高いとされています。
処置の流れは、
- まず幹部を洗う・拭く
- ポイズンリムーバーで吸い出す(口で吸い出すのは危険)
- 患部より心臓に近い部分を軽く縛り、毒のまわりを少しでも遅らせる
- 6時間以内に血清投与
といった感じです。
ポイントは、蛇の毒は牙の先っぽから出るというわけではない、という事です。
毒腺は牙の近くにあって、噛んだところに毒腺から出た毒をたらしこむイメージです。
なのでまずは洗い流す・拭くということが大切です。
それから、噛まれた時間と状況を医師に伝えることができるように覚えておくことも重要です。
普段から蛇を見慣れているわけでもない限り、噛まれた蛇の種類なんてわからないものです。
でも、経過時間と症状などから、医者が毒の特性が判断できるのです。
(日本の毒蛇の種類は少ないため見当がつけやすい)
マムシ
人間だと気性が荒い人なんかに「〇〇のマムシ」なんて二つ名がつけられる事がありますが、実際のマムシの性格はおとなしいヤツなんです。
見かけたら、そっとしておいてあげましょう。
マムシの特徴
- 短く太い。
- 体長45cm~60cm 性格はおとなしい
- 日本中どこでも生息 (4月~10月)
- 毒の特徴 幹部の腫れ 血圧低下 体内出血 筋無力症状 呼吸不全 など
- 3~4日後の死亡率が高い
- 平地・森林・藪 特に水場
- 症状が重い場合のみ血清投与が必要
ヤマカガシ
もってる毒は超強力なんだけど、牙が発達しておらず毒を注入する能力が低いというヤツ。
顔はトカゲのようにかわゆめ。
ヤマカガシの特徴
- 体長60cm~120cm おとなしい
- 北海道以外に生息 (5月~10月)
- 一瞬噛まれただけでは毒が注入されることは無いため無毒と考えられていた時代がある
- 噛まれても直後には痛みや腫れがあまり起こらない
- 毒の特徴 血管内で血栓形成 鼻・歯茎・消化器官・肺・皮下からの出血・頭痛
重症化した場合は血清が不可欠です。
しかし近年の生息数減少にともない、血清の作成が打ち切られる可能性があり、噛まれて重篤化すると死を待つだけになる時代が来るかもしれません。
昔はヤマカガシに毒は無いと思われるほど、被害は少ないらしいですが。
ハブ
日本にいる蛇の中で最も危険なヤツ。
夜行性という点がすごく厄介で、タープ泊などをしていると気づかぬ間に忍び寄られて噛まれる危険あり。
僕の住んでいる愛知にコイツはいないため対策不要ですが、沖縄の方は十分注意して下さい。
と言っても、ハブの危険については僕なんかより沖縄の方のほうが詳しいとは思いますが。
- 体長100cm~220cm 大きい 攻撃的 夜行性
- 日本本土には生息していない 沖縄周辺の南西諸島に生息 3月~5月 9月~11月
- 毒の量が多い
- 毒の特徴(幹部症状):腫れ・壊死・機能障害・運動障害
- 毒の特徴(全身症状):嘔吐・腹痛・下痢・血圧低下・意識障害・アナフィラキシーショック
血清を使えれば死亡率と後遺症がかなり低くなります。ただし使わないと、48時間以内の死亡率が高いようです。
昔は予防接種ができたのですが、今は日本にワクチンはありません。
ムカデ
世界各地に生息していて、様々な有毒種がいます。
日本では5月~10月に多く発生。
落ち葉・朽木・石の裏など湿気のあるところに多く見かけるのですが、逆に乾燥したところを好む種もあります。
つまり、どこにでもいます。
攻撃されると反射的に噛みつく習性があり、ムカデがいる事に気づかず触ってしまい噛まれる、という事が多い。
特に靴の中は狭く暗く足汗の湿気もあり、ムカデが好む空間になっています。脱いである靴を履く前はムカデが入っていないか必ずチェックです。
毒の特徴
死亡例はほとんどなく、命にかかわることは少ないのですが、痛みがひどい。
噛まれた人は、その後数時間は痛みでまともに動けないほどと言われます。
アナフィラキシーショックや気道周辺受傷に伴う呼吸困難にも注意が必要です。
刺すと思われがちですが、実際は噛んで傷口に毒を塗り付けてくるスタイルです。
処置の手順は、
- 水などで毒を洗い流す
- ポイズンリムーバーで吸い取る
- 「抗ヒスタミン軟膏」か「ステロイド軟膏」を塗る
といった順で行います。
毒は高温で分解されるため、43~45度のお湯に1時間前後つけるとよいとされていますが、キャンプ場でちょうど適温のお湯を用意し続けるのは現実的ではありません。
アブ
毒は持っていませんが、血を吸う時に分泌される唾液が後で痒みを誘発します。
毒が注入されるわけではないため、ポイズンリムーバーは使わなくても抗ヒスタミン薬で十分かなと思います。
ジグモ
こいつは毒を持っていると親から教わっていたのですが、調べたところ特に毒はないみたいですね。
でも噛むので警戒を。
蚊
血を吸う時に分泌される唾液が後で痒みを誘発します。
抗ヒスタミン薬を塗っておけばいいでしょう。
ポイズンリムーバーをAmazonや楽天で購入するとき注意したいこと
僕はAmazonで買ったのですが、ネットで購入するなら安い粗悪品には注意したほうがいいです。
日常的に使うものではないし、ついついお金をケチってしまうのはわかるのですが、
いざという時に使えなかったら命にかかわるかもしれません。
実際に、必要な状況になって使おうとしたら壊れていた、という話をよく聞くので、しっかりした品質のものを選択することをオススメします。
また、動作確認した時は問題なかったのに、それから何年か経ち、経年劣化で割れてしまった、なんて話もありますから、動作チェックは定期的に。
100均の注射器買うと安上がりだゼっていう話
100均の注射器もポイズンリムーバー代わりになるらしいですね。
でも、備えとして持つのはどうかなと思います。
100均注射器をオススメしない理由
なんで100均注射器ではダメなのか?
いくつか理由をあげてみます。
片手で使えない
危険生物にやられやすいのは、足や手です。
手の場合はもう片方の手しか使えないので、注射器だと使い物になりません。
先端のサイズを傷口のサイズに合わせて変えることができない
ポイズンリムーバーは幹部に合わせて先端のサイズを変えることができるのですが、注射器ではサイズ選択できません。
それなら大き目サイズを選択しておけば、大は小を兼ねると言われるように大丈夫じゃない?
と思うかもしれませんが、指などの幹部は大きいサイズだと空気が逃げてしまい吸引することができなことが多いです。
つまり、使えないことが多い。
壊れてたらそこで試合終了
ポイズンリムーバーは医療品という側面を持つため、故障しないように品質がある程度保証されているものが多いです。
注射器も医療品じゃんと思うかもしれませんが、100均の注射器は実際のところ注射器ではなくて、スポイトやボトルという位置づけで売られています。
注射針が付属しているようで、実はあれも針とかじゃないです。
ドラッグストアでポイズンリムーバー下さいと言ったら聞き返された話
マツキヨなどのドラッグストアでポイズンリムーバーを探したことがあります。
探しても見当たらなかったため、店員さんに聞いてみたところ、「ポイズンリムーバーってなんですか?」と聞き返されるくらい、認知度ありませんでした。
ネットで買えばいい話なのですが、店頭で買いたい場合にはどこで買えるか?というと、やはりアウトドア関係のお店のほうが売ってる率は高いと思います。
以前は登山用品の好日山荘などで売っていたみたいですが、現在は取り扱っていないようで、年々こういったアイテムはネット頼みになっていく、というのが現状です。
僕個人としては、とことん情報を調べてから買うのでネットで買うほうが楽でいいじゃんと思うのですが、やっぱりよくわからないものって、店員さんに教えてもらって買いたかったりするのもあると思うんですよね。
ニキビを吸い出せないか調べてこのページにたどり着く人がいるのだが
ニキビを吸い出せないか調べているうちにこのページにたどり着いた人が多いようなので、
すこしニキビの話をしましょう。
たしかに、ポイズンリムーバーって、ニキビを吸い出せそうな形状ですよね。
でも、ポイズンリムーバーで吸い出すのはよくないとされています。
ダメと言われる理由。
それは、痕が残るリスクが高くなるから、です。
僕は思春期から20代半ばまでニキビに悩まされたのですが、そんな僕の意見として、ニキビに一番ダメなのは刺激です。
ニキビができてしまったとき、重要なのは早く治るかどうかではなく、痕(あと)が残るか残らないか。ここが一番重要。
では、痕が残る一番の原因は何か?といったら、ニキビができている時に表皮にダメージが入ることです。
ニキビが皮膚の奥でかなり巨大になろうが、表皮へ傷がつかずに治っていけば、大抵の場合、痕にはなりません。
それをポイズンリムーバーで皮膚へのダメージも考えずに無慈悲な力で吸い取ったらどうなるでしょうか?
ニキビの芯は出てくるかもしれない。でも、皮膚には大きな穴が開く可能性がある。
すると、痕が残る可能性がぐんと高くなる。
もっといえば、ケロイドになってしまうこともある。
ちなみに僕は、ニキビからケロイドになってしまったクチです。
左のフェイスラインあたりにできたニキビが、イヤホンのコードで何度も刺激を受けているうちにケロイド化したものです。
20年近く経った今もなお徐々に赤みが広がり続けていて、時折凄まじい痒みに襲われます。
このケロイドが消えることはありません。
一度ケロイドになってしまったら、完治させるのは難しいんです。
だから、安直に早く治したいからとかいう理由で、ポイズンリムーバーを使うのはかなりリスキーだということを知ってほしいです。
僕がオススメするニキビの治し方というのは、
- 正しい生活習慣
- 炭水化物を控え目にした食事
- おやつは食べないこと
- 気合い入れて半身浴をする(1時間以上半身浴することもしばしば)
こんな感じの体質改善です。
つまり、ニキビをつくらないことが、治し方なんです。
って、女子力高いお話をしてしましましたね…。
ハードボイルドを目指しているこのブログにはちょっとお色違いな話題だったかもしれません。
まとめ
どうでしょう、ポイズンリムーバーの必要性、感じて頂けたでしょうか?
ここで、今回のお話で出てきたポイズンリムーバーと抗ヒスタミン軟膏について少しご紹介しておきましょう。
ポイズンリムーバーの紹介
僕は安全のためならお金を惜しまないスタイルのキャンパーなので、有名なメーカーであるキャプテンスタッグのアイテムを選択しました。
お値段は3000円前後。
でも大抵の方は、もうちょっとお安いほうがいいですよね?
そんな方のために、もう少しお安めで品質も大丈夫そうなポイズンリムーバーをリサーチしておいたので紹介しておきます。
構造も今回紹介したキャプテンスタッグのM-7742と同じなため、使い方など参考にしてもらえると思います。
抗ヒスタミン軟膏はムヒアルファEXがおすすめ
この記事で度々登場した「抗ヒスタミン軟膏」ですが、僕はAmazonで買ったムヒアルファEXを携行しています。
抗ヒスタミン…という表現で書いていたので、なんだか特殊な薬に思いながら読み進めていたかもしれませんね。
でも実際は、僕らが普段からよく使っているものだったというオチでした。(笑)
キャンプって、危険が多い趣味です。
きちんした備えがあれば、色々なものに過度に怯えることなく、もっとキャンプが楽しめるようになると思います。
この機会に、ぜひ備えを見直していきましょう。