キャンプをする時の靴選びは選択肢が多いので、けっこう迷います。
なかでも候補にあがりやすいのが、登山をする人が愛用するトレッキングシューズではないでしょうか?
見た目も渋く、キャンプユースでも憧れるトレッキングシューズですが、その性質を十分理解せずに選択してしまうとキャンプの快適性が大きく損なわれるかもしれないですよというお話をします。
間違ったの買っちゃった~!となっても、数万円は返ってこないですから。
キャンプシューズなんてない
靴ってシーンに応じて使い分けますよね。スポーツでクロックスは使わないし、晴れた日の街中でゴム長靴は使わない。
では、キャンプの時はキャンプシューズを使えばいいかというと、キャンプシューズという名前で売り出されている靴ってありませんよね。
野営で山奥に踏み入るとか薪集めをするなどで歩き回るスタイルのキャンプだとけっこう山で歩くことになるため、登山に近いのかなという考えでなんとなくトレッキングシューズを選ぶ人も多いと思います。
この考え方でもそんなに間違ってはいないんですが、もう少し洗い出しながら考えてみましょう。
- なぜ、トレッキングシューズなのか?
- どんなトレッキングシューズを選べばいいのか?
- そもそもトレッキングシューズってどんなものだっけ?
この辺りについて、お話をしていきます。
トレッキングシューズの魅力
トレッキングシューズというのは、山での活動性能が全体的に高いつくりになっています。具体的にはこんな感じのいいことがあります。
- 見た目が山シューズって感じでカッコイイ
- 防水透湿性能が高い(水に強いが蒸れは逃がす)
- 耐久性が高い
- ソール(靴底)のつくりが山での活動用に考えられている
このあたりが、トレッキングシューズを選ぶ大まかなメリットですね。
登山とキャンプ 共通点と違うところ
キャンプも登山も、山での動きやすさが求められます。
でもこの“動きやすさ”というのは、ずいぶんと求められる内容が違ってきます。
ちなみにここで言っている登山というのは、クライミングやエベレスト登頂などはではなくて、歩いて山を登れるような範囲の活動、という意味で使っていきます。(さすがにキャンプの話題でクライミングとか想像する人はいないと思いますけど‥(笑))
登山に最優先で求められる性能は次のような感じです。
- 1日中歩いたときの疲労軽減
- 歩いている時の怪我防止
それに対し、キャンプでは1日中歩くということはなく、薪拾いやテントの設営といった、歩く以外の動作が多くなります。
- テントの設営
- 薪拾い
- 薪割り
- 焚き火
- 料理
- ブッシュクラフト(ナイフなどを使って木などから道具を作る作業)
- 座る(地面にも)
- 雨の時など水深数cm程度浸水した場所での作業
- 靴の脱ぎ履き(土足禁止のテントの場合)
こうして見るとキャンプにおいて歩くことの比重というのはだいぶ少ないことがわかりますね。トレッキングシューズを選択する時にはこれらキャンプで必要な動作がしやすいことについても考える必要があります。
靴の選び方
次に、トレッキングシューズといってもどんなタイプのものを選べばいいか?について考えていきましょう。
ソール(靴底)は柔らかいタイプがいい
ソールが硬いことのメリットは、長時間歩いた時の疲労軽減と、地形にとらわれない安定性です。ただしソールが硬いと、足をしっかり上げて歩くことを意識する必要が出てきます。
ソールが柔らかいことのメリットは、靴の硬さが動作の制限にならないことです。屈むといった動作が割と多いキャンプに適しているといえます。また歩く時も、普段どおりの歩き方ができます。
足首の固定力は緩いタイプがいい
靴が足首を固定するのは、主に怪我防止からです。登山では長時間歩く必要があるため、歩行による怪我の防止の優先度がかなり高いです。
いっぽうキャンプでは、 刃物も使うし、火も使う 。歩行による怪我よりも不注意による事故のほうがよっぽど危険です。
だから足首の固定ではなく動きやすさを優先するほうが大切だと思います。
キャンプだとローカットとハイカットどっちがいい?
登山では靴に求めるものが“歩高性能”と単純明快です。それに対しキャンプでは歩く以外にも色々な要素が絡んでくるため、ハイカットとローカットのメリットを知ったうえで自分のキャンプに必要なものは何であるかを考えて決めましょう。
ちなみにローカットというのは、くるぶしが見えるような、浅い造りの靴のことで、ハイカットは逆に足首まであるような深い造りの靴のことです。
ミドルカットはその中間、といった感じです。
一般的なローカット・ハイカットの特徴を表にしてみました。ただこれは、あくまでも一般的にというだけであって、各メーカーからそれぞれ知恵と工夫と素材を駆使してデメリットを克服した靴も多く出ているので、実際はハイカットなのに屈みやすいものなんかもあったりします。
ローカット | ハイカット | |
脱ぎ履き | やや時間かかる | けっこう時間かかる |
屈みやすさ | 屈みやすい | 屈みにくい |
足首の保護 | 弱い | 強い |
長時間歩行 | 怪我リスク高 | 怪我リスク低 |
短時間歩行 | 機敏に動ける | 踏みしめる感じ |
つま先への負担 | 多い | 少ない |
見た目 | 軽い | 渋い |
異物混入 | 多い | 少ない |
水の侵入 | しやすい | 長靴っぽく使える |
ここまでの話の流れだと、なんかローカットのほうがいいんじゃね?ってなるかもしれませんが、個人的にはキャンプにおいてもミドルカットやハイカットをオススメします。
キャンパーにハイカットを勧めるのは次のような理由からです。
- 見た目が渋い
- 長靴っぽく使える(防水性の場合)
- ダニなどの虫に侵入されにくい
ハイカットの本来の足首の固定ではなく、見た目、水や虫の侵入防止といった、キャンパーならではの理由なわけですが、これが結構重要です。(笑)
トレッキングシューズはややオーバースペック
先ほど紹介したような、ソールが柔らかめで、足首の固定力も弱めの靴。
これ実は、ハイキングシューズが性能としてドンピシャだったりします。
逆に、トレッキングシューズとして売り出されているものは、ソールが硬くて足首も強く固定されるようなものが多いです。
極端な話、ガチガチのトレッキングシューズを履いていると、普段通りに走ることすらできません。(笑)
いきなりオーバースペックのトレッキングシューズを選択すると、キャンプでは一つ一つの動作が大変だったりするため、迷った時はハイキングシューズを選択しましょう。
まとめ
ここまでお話したことを振り返ったうえで、キャンプシューズとしてはどんな性能が必要なのか?ということをまとめると、こんな感じです。
- 山道を1時間くらい歩く時に最適な歩高性能があること
- 歩く以外の細かな動作もしやすいこと
性能としてはこのあたりがポイントで、ハイキングシューズから選択すると無難かな、と思います。
とはいえ、やっぱり見た目やフィーリングで決めるのはアリだと思っています。
だってキャンプって、登山とかと違って、それ自体が目的だから。
自分がイチバン楽しいと思える、イチバンカッコイイと思えるアイテムを選ぶことも大事だと思いますよ。